その10:木工科訓ボード
木工科8期生としての卒業制作も作ってみたい、そういう願いもあったので冬休みのうちからその準備を進めていた。
木工科実習室には昨春から「ていねい&スピード」という「木工科訓」が掲示されてきた。
拡大コピー機で印刷されたものだったので、キチンとしたものを作ろうと。
カレンダーボード作りを終えたK君に文字の糸のこ切りを任せ、フレームの研磨・オスモ塗装などは卒業制作を終えた生徒に順次任せていった。
実習最後のギリギリな時間までかかったが立派な仕上げで完成させることができた。
木工科送別会・卒業式で紹介させてもらった後、学年末の大掃除の際に2年生の助けを借りてガッチリ実習室の壁面に貼り付けた。
後輩たちの作業をこれからずっと見守っていくことだろう。
その11:卒業式
うれしいことがあった。
それまで学校を長期欠席していたM君も駆けつけてくれ、43名全員で卒業証書を受け取ることができた。
この8期生の子たちは大変温かい子たちだった。
長期欠席していたM君が学校に来たことを知ると、わがことのように一緒に喜び合い、ぶっつけ本番で臨む彼にいろいろ周りで言葉をかけてやり方を教えてあげたりしていた。
別れの言葉。
全員が必ず1回は当たるひとりでのセリフ。
M君ははじめ代役の子に任せようとしていたが、ここは自分がちゃんとやらなきゃと思ったのだ。
式典の中で思い直して、本番では自分の言葉でしっかりセリフを言っていた。
協力隊に行く前後からずいぶんと涙腺がゆるくなった私。
別れの言葉あたりでなきじゃくる子どもたちにもらい泣き、立派に証書を受け取る子どもたちの姿に涙し。
3年生に持ち上がり、半端な仕事をしないでこの日までやってきた、そんなちょっと自分を誇らしく思っている部分にじんわり響いてきて、この8期生と一緒に過ごせてきてよかった、ありがとう、そういう気持ちに浸った一日だった。
その12:離任式~そしていま
卒業式から2週間はあっという間にすぎ、3月24日(月)の離任式の日を迎えた。
次の一年はフルタイムで働かず、仕事をセーブしながら勉強に時間を使っていく。
そう決めていたので、この学校を離れることはほぼ確定していた。
引き継ぎの資料を作ったり私物を整理したり、お世話になった先生・子どもたちに記念のDVDを作ったり、そんなことをして迎えた離任式。
2年前の5月にこの学校に来たときの着任式で私はオカリナを吹いた。
たぶん「いつでも何度でも」か「ラピュタ」か。
この離任式のときもオカリナを吹こうと決めていた。
吹いたのは「さんぽ」。
♪あるこう あるこう わたしはげんき
あるくのだいすき どんどんゆこう・・・・
悲しいことやつらいことがあっても前を向いてどんどんあるいていってほしい。
そんな気持ちを子どもたちに話した。
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そして4月。
この1年は札幌市内の別の養護学校で時間講師としてお世話になる。
この1年は充電の1年。
日野原重明さんのように、おなじ木工科でお世話になったS先生のように60歳になっても、70歳80歳になっても・・・生涯現役で働いていける人になるために。
良い習慣づくり。
良い出会いを重ねる。
良い学びを続ける。