2月中旬を過ぎると、身だしなみ講習会、警察の方の講話、過年度卒業生の講話、卒業式練習・・・とあわただしい毎日が飛ぶように過ぎ去っていった。
そして、3月。
卒業式前日の3月6日(木)。
玄関ホールには各学科ごとに生徒の卒業制作が並べられた。
木工科も、放課後生徒ひとりひとりに自分の卒業制作を運ばせて。
そして、これが木工科卒業生9名の卒業制作。
この写真のように、ひとりずつ完成したときは制作をみんなでお祝いした、どれも思い入れのある作品ばかりだ。
その1:甥っ子さんのための木馬(N君)
1歳になる甥っ子さんのためにつくりたい・・・N君が希望したのがこの木馬。
卒業制作の予算(みんな同じ水準の作品にするという意味で)よりかなりオーバーするということ、一見シンプルに見えるが高等養護学校木工科の題材の中でもかなり難易度の高い作品ということがあって、しばらく渋い顔をしていた私。
ほかのデザインの作品も提案してみたが、どうしてもこれを作りたいという本人の気持ちを優先してゴーサイン。
限られた時間で、材料取りの部分でかなり私が手を入れたが、研磨・組み立て・塗装をN君はしっかりとやっていた。
最後の時間までかかったが無事完成。
大人が乗っても壊れない頑丈な一品だ。
その2:六曜カレンダーボード(K君)
数百年先までのカレンダーの日付→曜日を瞬時に言うことのできるK君。
2年生のころから六曜(大安・先勝・・・)に強いこだわりを持つようになった。
単純な繰り返しの曜日と違い、六曜は旧暦とのつながりがあって、単純に繰り返すことがない。
そのイレギュラーな不規則性をずっと「いずい(北海道の方言=心地悪い)」と言っていたK君。
そういうことがあったからだろうか、パソコンで六曜を検索したり、六曜のついたソフトをいろいろ見たりいじったり。
自前の手書きカレンダーも膨大な量になっていた。
はじめに卒業制作を何にしたいと聞いたとき、何でもいいよみたいに近くにあったプランターを指さしたK君。
卒業制作に興味なさげな様子だったので、やはりカレンダーがいいかな、それも自分でいじりがいのあるヤツがいいよな・・・とあれこれアイデアを考えてK君に提案。
すると俄然やる気が出たのだろう、1~31までの日付、曜日などとても細かい糸のこ切り作業に熱中し始めた。
完成予想のスケッチを見せただけで、あとはほとんど指示をしないで自分で完成までのイメージをつかみ作業をしていた。
このカレンダーボードはすべてのプレートがマグネット接着になっていて、日付や六曜を簡単に入れ替えることができる。
年月は何年までのレンジになるか想像がつかなったので(笑)、ホワイトボード用マーカーで書き消しが簡単にできるようになっている。
K君には卒後行く予定の木工房で役に立てば・・のねらいから、糸のこ作業を重点的に取り組ませてきた。
その腕がずいぶんと上達して、木工科訓ボード(ていねい&スピード)のすべての文字を彼が担当するまでになった。細かい字でも墨書のはねやはらいを意識したきれいな仕上がりで字を切ってくれていた。
その3:DVD&CDラック(K君)
学校で製品販売されている同種のラックをアレンジして作った一品。
側板を製品版の1.5倍の厚さにしたこと、それと渡している木棒を木ねじでがっちりと締めたこと。
仕上げは光沢がつややかなウレタン塗装で。